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- わくわくキャリコン図鑑
- 2023.3.7
【わくわくキャリコン図鑑】第五回 國定さん
INDEX
國定さん
第五回目のわくわくキャリコン図鑑は國定(くにさだ)さんです。
大学での講師、キャリアカウンセリング、子育て世帯向けのワークショップ、キャリア支援プログラムの企画運営・コンサルティング等々、様々なお仕事をされている國定さん。キャリアラボで大学のキャリア講座の運営リーダーもされています。その根底には、「働きづらさを感じている人が働きやすい社会を作りたい」という想いがありました。そんな想いを持つようになったきっかけや、現在の働き方に至るまでのお話、今後の目標などを伺いました。
子どもの頃に感じた違和感から生まれた、将来の目標
幼少期から高校生まで、長い期間を石川県で過ごしましたが、地域社会という限られたコミュニティで過ごすことに、子どもの頃から生きづらさを感じていました。ある時、日本の年間自殺者の数が約3万人と知り、「この生きづらさは自分個人だけの話ではなくて、きっと多くの人が感じていることなんだろうな」と感じました。そこから、生きづらさを感じる人の支えになれたらいいなと考えるようになり、臨床心理や社会福祉に興味を持つようになります。
大学のフィールドワークをきっかけに知った、理想と現実のギャップ
その後、京都の大学に進学し、社会福祉を学びました。大学では、子どもの頃に感じた「一つのコミュニティで生きること」への違和感から、複数のコミュニティに居場所を作る生活にシフトしたことで、自分にとって心地良いバランスを保てるようになりました。3つのアルバイトをかけもちしたり、NPOでの街づくりに関する取り組みをしたり、とにかくアクティブに過ごしていました。
学業にも夢中になった学生生活でした。私が通っていた大学は、フィールドワークを大切にしている学校だったため、福祉の現場を知る機会を沢山得ることができました。しかし、充実していた一方で、あることに気付きます。
一口に社会福祉の勉強といってもその領域は多岐に渡りますが、共通する理念は「障害のある方もない方も皆が自分らしくいられる社会を実現しよう」というようなものでした。ですが、フィールドワークで様々な福祉施設に行き、障がい者とお話をする中で、就職時の選択肢が少ないことを知りました。理念と現実のギャップを強く感じ、「それは違うんじゃないの」と、社会に対する怒りに近い感情を覚えました。この経験がきっかけで、「働く選択肢がまだまだ少ない人たちに、何かできることをしていきたい」という想いを持つようになりました。
大きな目標を見据えながら、今できることをやっていく
障がいのある方にとって働く選択肢が少ない現状を変えていきたい、という想いを持つようになりましたが、様々な選択肢を選べるように社会と求職者の方を繋ぐ手伝いをするには、自分自身にも社会に出た経験が必要だと考えました。社会と繋ぐお手伝いをするのに、繋いだ先の社会のことを知らなければ、本当に役に立つ就労支援をすることはできないだろうと思ったのです。そこで、社会に出て仕事の経験を積むため、人材サービス会社に就職しました。人材サービス業界であれば、働く人を支援する経験も積めると考えたからでした。
職場にはキャリアコンサルタントの資格を持っている人が多く、自身の目指すキャリア上も取得した方が良いと考え、キャリアコンサルタントを取得しました。この頃、出産を経て、時間の使い方等が大きく変わりましたが、目標が変わることはありませんでした。以前よりも自由に使える時間は確かに少なくなりましたが、環境が変わったからあきらめるのではなく、今の状況で目標に少しでも近づくために何ができるかを考え、行動し続けました。
約3年勤めた後、障がい者の就労支援を行っている会社に転職しました。転職後は、やりたかった仕事ができる喜びを感じながら8年勤めました。
本質的な課題解決を目指す中で、異なるアプローチを知る
ずっとやりたいと思っていた仕事ができて、日々やりがいを感じていました。また、自身の感覚的な満足感だけではなく、障がい者の方の就職率や仕事の選択肢は少しずつですが改善していたため、数字の面でも変化を感じていました。しかし、就職先の選択肢は増えているとはいえ、その中身を見てみると事務系の作業等に関するものに限定されていて、根本的な課題は変わっていないのではないかという疑問を同時に感じていました。
では、どうすれば良いのだろうと考えた時に、就労支援という実務ではなく、福祉に影響を与える経済や教育など、社会の在り方に関わる分野から取り組むことが、長い目で見ると解決に繋がるのではないかと考えるようになりました。そこで、教育という観点ならどんなことができそうかを考えるためにキャリアデザイン学会に通い学びました。
キャリア教育について学んでいくなかで、「PBL*」という言葉と出会い、強く惹かれました。「PBLに関する仕事をまずは副業からやってみたい」と思い、仕事を探していた時にキャリアラボに出会いました。障がい者の方が働きやすい社会にしていきたいという目標は変わっておらず、PBLはあくまでその目標を実現するためのアプローチの一つだと思っていました。でも、そのアプローチが自分にとって合っているのか、出来るのか、という疑問を確かめるために、まずは副業から始めたいと思ったのです。
*Problem-based Learningの略。文部科学省が推進するアクティブ・ラーニングの手法の一つ。教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた学習法。(文部科学省 用語集より)
関心と安定性のバランスを取りながら、仕事の比重を徐々にシフト
副業としてキャリア教育に携わる中で、その奥深さや面白さ、そして自分の目指す目標への有効なアプローチになるという確信から、キャリア教育にかける比重を大きくしようと考えるようになり、徐々に仕事の比率を変えていきました。3年程かけて、少しずつ働き方を移行しました。元々フルタイムで勤務していた、障がい者の就労支援の会社での仕事をまずは週3日勤務に減らし、キャリアラボでの講師としての仕事を増やしていくことで、段々シフトしていきました。関心のあることに一気に振り切るのではなく、経済面や生活リズムなどのバランスに配慮しながら少しずつ移行し、最終的に2020年に独立しました。
現在は、講師のお仕事の他、大学でのカウンセリング、子育て世帯へのキャリアワークショップ、障がい者施設の採用支援等の複数の仕事をしています。プライベートでは3児の母でもあるため、家庭と仕事のバランスを取ることを大事にしています。
これからの目標
これからの目標は2つです。一つ目は、自分のような色々な働き方もありなんだということを発信していくことです。最近、マルチポテンシャライト、という言葉に出会い、「あ、これ私だなあ」と思いました。色々なことに興味を持ち、複数の分野に跨って活動する人のことを指す言葉なのですが、自分の働き方に近いなと感じました。働き方の答えは一つではなくて、こんな働き方もあるんじゃない?、と選択肢を提示できたら面白そうだなと思います。人とワイワイ交流するのが好きなので、ワイワイしながらそんなことを伝えられたらいいなと思っています。
二つ目は、働きづらさを感じている人にとって働きやすい社会にするための会社をつくることです。もしくは、そういった事業をしている会社でビジョンに共感できるところがあれば、協働という間接的な関わり方でも良いと思っています。起業や協業というやり方にこだわるのではなく、実際に社会を変えていくための取組みを推進したいです。自分にとっては、一つ目は小さな目標で、二つ目が今後10年の大きな目標だと思っています。実現したいですね。(取材・松田・米田)
- 投稿者松田 博文
- カテゴリーわくわくキャリコン図鑑
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